「自分が何かに挑戦していることに、驚いています……」株式会社由紀精密・井出麻子さんに起きた“変化”とは

「自分が何かに挑戦していることに、驚いています……」株式会社由紀精密・井出麻子さんに起きた“変化”とは


男性が大半を占めるものづくり業界で活躍し、輝く女性。そんな女性たちにクローズアップし、お話を伺う「美女便覧」の連載第5回目です。

今回お話を伺ったのは、株式会社由紀精密の製造部での働く井出麻子(イデ アサコ)さん。同社は精密切削加工技術を中心に、商品企画から販売までの工程を少数精鋭のスタッフが展開しています。

もともとチャレンジ精神がある方ではなかった、と語る井出さん。しかし由紀精密で働き、仕事を任せられることを通じてある変化があったそうです。

目立つことが苦手な性分なので、ものづくりに携わりつつも裏方の仕事がしたいと思っていました。

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―井出さんは製造部でどんなお仕事を担当されているのですか?

井出:部品製造の仕上げを担当しています。主に手作業で、時計の部品や旅客機の部品など様々な部品の機械加工後の切削面を仕上げたり、取りきれないバリを除去したり、仕上げ加工全般を行っています。時には、3分以上回り続ける超精密につくられているコマである「SEIMITSU COMA」 の仕上げも含まれており、ミクロン単位の寸法検査をすることもあります。

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出典:http://www.yukiseimitsu.co.jp/portfolio/coma/


―バリ取りは非常に難しいと聞きますが、習得されるまでにやはり大変だったのでしょうか?

井出:そうですね。初めての作業時に口頭での説明を受けて、頭で理解することはできたのですが自分で感覚を身につけるまで大変でした。最初の頃は何もわからないという不安や緊張もあってか「バリを取るぞ」、と肩に力が入りすぎた結果、余計な部分まで削りすぎてしまう……という時期がありました。

最後の仕上げの段階で失敗してしまうと、他の方が時間をかけて加工したものを不良品にしてしまうので、細心の注意を払っています。

 

―とてもプレッシャーのかかるお仕事ですね……。現在のお仕事をされることになった経緯を教えてください。

井出:もともと創作や工作に興味があって、年2回開催されているオリジナルの創作作品を展示・販売するイベントへ足を運んでいました。そこで作品を見て、新たな発見をするなど刺激を受けるのが楽しくて。

その一方で、目立つことが苦手な性分なので、ものづくりに携わりつつも裏方の仕事がしたいと考えていました。

 

―由紀精密の自慢できるところ、それが実感できたエピソードを教えてください。

井出:常に新しいことを考え挑戦していくという姿勢が自慢です。その行動がメディアに取り上げられてネットやテレビで流れたりすると誇りに感じますね。これまでも、航空・宇宙関連事業への展開や、SEIMITSU COMAについて、さらには海外展開に関するニュースにいたるまで、様々なテーマで新聞や雑誌に取り上げていただいています。「Forbes JAPAN」の2015年11月号では見開きページで、弊社が海外進出した経緯などを中心に紹介していただきました。

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出典元:Forbes JAPAN

 

そして今まさにこうして取材を受けていることも、緊張していますが、一社員としてとても誇らしく思います。

 

0.01単位の精密さを求められるのですが、調整はすべて手作業です。

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―井出さんがこれまで「挑戦されたこと」を教えてください。

井出:挑戦……ということですと、昨年9月から始めた英会話でしょうか。当社が海外へ進出し、電話や来客時の英語応対が増えたことがきっかけで習い始めました。英語対応の強化は会社全体での試みで、私のほかにも数名習っています。私自身スキルアップに繋がるので挑戦してみようかなと思ました。

もともとあまりチャレンジ精神を発揮した経験が無いので、今回のこの挑戦は自分でも驚いています。

 

―会社の「新しいことに挑戦する」という風土を井出さんも自然と受け継いだのかもしれませんね。仕事の中で「これは誰にも負けない」と思う点はありますか?

井出:私が担当する機械のセッティングです。汎用旋盤と呼ばれる年季の入った機械を使用しています。以前は会長の大坪が担当していましたが、入社後すぐに引き継ぎを行い、現在では旋盤加工はほぼ全て私がセッティングしています。

時には0.01単位の精密さを求められるのですが、調整はすべて手作業なので、完全に使いこなすまで経験あるのみだと思っています。とにかく場数を踏み、手先の感覚を養わなければ!と思い、いまだに奮闘しています。スマート且つスピーディーなセッティングを目指して日々精進していきたいです。

 

―もともと会長がされていたことを任せられたのは、すごいことですね。井出さんが任せてもらえた理由、というのはあったのでしょうか。

井出:会長の仕事を任せられたのは、技術伝承や世代交代の意味もあるかと思います。また、仕上げ作業などの細かな精密作業精密で細かい作業を着々とこなしていくところは女性が強いイメージもあるので、集中力を長時間維持させて、淡々とこなしていくことが得意な私に任せていただけたのではないかと思っています。

 

自然体で。助けが必要なときは助けを求める。安全に作業することが一番です。

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―男性が多い業界だと思いますが、うまくやっていく秘訣や注意していることはありますか?

井出:年齢はもちろん意識しますが、性別に関しては特に考えたことはないです。こちらはむしろ意識せず、変に構えない方が良いのではないかと思います。

 

―製造業というと力仕事や危険なイメージもありますが、実際はいかがですか。

井出:主に刃物で部品を削っていくので、扱いを間違えると指先を切ってしまい注意が必要です。また、仕上げ前の部品だと端面などでも怪我をする恐れは十分にあるので、作業中は刃物の位置を確認したり、機械が止まっているかをチェックしたりといった作業を怠らないようにしています。

他にも大量生産品やサイズが大きなものなど、重量のある品物もありますので、その時は無理をせずに他の人と協力して運んだりしています。

 

―最後に、今後やってみたいことを教えてください。

井出:プレゼント用の指輪を自主制作した知人がいるのですが、そのようなアクセサリーの製造に興味がありますね。設計・加工から仕上げまで、自らの手で行う、手作り感満載のものに憧れます。僅かな凹凸や鈍い光り具合も手作りならではの良さだと私はとらえているので。

また私は会社から必要とされている能力を提供し、製造面から会社を支えたいと思っています。

 

―ありがとうございました。由紀精密で働くことが井出さんの成長につながり、それが会社に還元されていくことを感じました。今後のご活躍も期待しています!

 

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