食品やバイオ細胞!?3Dプリンターに使える驚きの素材が、私達の暮らしを変える

食品やバイオ細胞!?3Dプリンターに使える驚きの素材が、私達の暮らしを変える


「3Dプリンターはものづくり業界を変える」

テレビやインターネットで何度も目にする、このキャッチコピー。
これを見た多くの人は、「製造業に携わってないから、自分はあまり関係ない」と思うことでしょう。しかし実は、3Dプリンターが影響を与えているのは、製造業だけではありません。医療や建築、そして食の分野にも、3Dプリンターの影響は及んでいるのです。

その理由を紐解く重要なカギは、3Dプリンターの“素材”。近年では食品やバイオ細胞など、さまざまな素材を出力する研究が進められています。今回はその中でも、私達の暮らしを変えるかもしれない、驚きの素材を紹介していきます。

歯の詰め物に活用!人体に関わる分野での活躍が期待される「セラミックス」

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最初に紹介するのは「セラミックス」と呼ばれる素材です。

セラミックスとは、無機物を焼き固めた結晶体を指します。陶磁器をイメージしていただけると分かりやすいのではないでしょうか。無機物といっても、炭化物や窒化物などの無機化合物から、シリコンなどの半導体まで種類はさまざま。それぞれの物質の特性を生かして幅広く活用されています。


上の写真は、セラミックス素材を使った3Dプリンティングを、医療の現場に活用している歯科クリニックです。

三重県桑名市にある中野歯科医院では、セラミックスを素材に、歯の詰め物を3Dプリンターで作成しています。その秘密は“セレックシステム”。まず、3D光学カメラを使用して患部を撮影(スキャン)し、歯列をモニター上に再現します。そしてコンピュータの3D画面上にて詰め物を設計し、データをもとに3Dプリンターで出力するという仕組みです。そのため、普通の歯医者では当たり前のようにする“型取り”をする必要がありません。

3Dプリンターによって出力された歯の詰め物は、すき間なくぴったり歯に装着できるので、詰め物の下にできてしまいがちな二次的な虫歯を防止することができます。このように、セラミックスは、食器や陶磁器という本来の使われ方以外に、3Dプリント技術と組み合わさることで、人体に直接関わる分野で活躍することも期待されているのです。

ドバイでビルの建設が実現!建設業界に変革をもたらす「コンクリート」

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続いて紹介するのは、建造物を作るのに欠かせない「コンクリート」です。通常は型枠に流し込んで固めるこの素材を、どのように3Dプリンティングに活用しているのでしょうか。まずは、実際に作られたものを見てみましょう。

次の動画をご覧ください。

動画で紹介されているのは、以前、大型建築物の出力事例の記事でも紹介した、ドバイが国を挙げて作り上げたビルです。なんと、装飾や内装も含めて、すべて3Dプリンターだけで作られているのだそう。これまでにも、3Dプリンターを使って建物を作ろうとする試みは世界各地でされてきましたが、ドバイのプロジェクトの規模は桁違い。次の動画で、製造過程が詳しく説明されています。

鉄筋の枠を敷き、歯磨き粉をチューブから出すように、コンクリートを数cmのピッチで積み重ねていく。そうして出来上がったパーツを現地に運び、クレーンで組み立てる。コンクリートの重さや粘度、硬化スピードを計算して積み重ねる高度な技術がなければ、均質に建物を作り上げることは困難でしょう。ドバイのプロジェクトは、見事にこれを実現したのです。

3Dプリンターを導入して建設されたドバイのビルは、ただの見せものではなく、電話、水道、電気、空調設備等を完備した機能的なワークスペースになっているそうです。その上、工期は50~70%短縮、人件費も50~80%削減されました。このように、コンクリートを素材にした3Dプリンティング技術が発達すれば、たとえ難しいデザイン建物であっても、容易に建てられるようになるのです。

道路の舗装にも、3Dプリンターが活躍する時代が間近に迫っています。上の動画をご覧ください。

従来は、まず道路の凹凸面を削って平らにする“切削”という工程を経た後、アスファルト合材を敷き、ローラーで締め固めるという流れで舗装していました。しかし、現在研究開発が進んでいる“3Dアスファルトフィニッシャー”は、搭載する3Dスキャナーで道路の凹凸状況を正確に把握し、路面に応じて、アスファルト合材の厚さを変えて敷きならすことができるのだそうです。

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写真のような陥没箇所では、他の箇所より多めにアスファルト合材が出てくることで、路面を平らにすることができるのです。現在行っている“切削”作業の量が大幅に減少することにより、作業にかかっていたコストや時間を減らすことはもちろん、工事に伴う交通渋滞を緩和させることも期待されています。

「食品」を素材に料理を出力する時代!食文化そのものを変えるか

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3Dプリンターの活用領域は日進月歩の進化を遂げ、ついに 「食品」分野にまで及ぶようになりました。
下の画像をご覧ください。

Ronald Raelさん(@rrael)が投稿した写真

芸術的で洗練されたデザインをしたオブジェ。デザインの美しさだけでも一見に値しますが、驚くなかれ。これはを材料に、3Dプリンターで作られた作品なのです。

製作したのは、3Dプリンターを用いた表現活動をするアメリカのアート集団“Emerging Objects”。塩そのものの質感や色合いを見事に活かした造形物は、見る者を魅了します。3Dプリンターでさまざまな素材が使えるようになれば、素材特性を活かしたアートの可能性は広がっていくことでしょう。

料理を出力する“フードプリンティング”の研究も進められています。

こちらは、テキサス州ヒューストンのベンチャー企業、BeeHex(ビーヘックス)が開発した、食品用の3Dプリンターです。出力しているのは“ピザ”。生地(主に小麦粉)とトマトソース、チーズを本体上部の原料タンクに注入。プリントを開始すると、原料がチューブを通じてプリントヘッドに送り出され、生地から順番に積み重なるように印刷される仕組みです。

宇宙飛行士が船内で美味しいものを食べられるように、という理由からNASAが多額の出資をしたことでも話題になった、“フードプリンティング”という領域です。フードプリンターが実用化されれば、料理が作れない人や作れない環境下にいる人が、美味しい料理を手軽に食べられるようになるのです。

「バイオ細胞」を使って、身体の一部や臓器を印刷できる未来

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最後に紹介する素材は、 「バイオ細胞」です。

細胞を素材にして出力するというのは、なかなかイメージしにくいかもしれません。が、細胞を生きたまま3Dプリントする“バイオプリンティング”は、医療の分野でいま、大きな注目を集めています。

アメリカにあるウェイクフォレスト大学の研究チームが耳の一部である“耳介”の出力実験に成功しました。

使われているのは、出力後すぐに硬化する特殊なジェルと生きた細胞。ジェルを使って器官を成形しながら、細胞を器官の中に注入して作っていくのだそうです。

この実験の成功は、人間の身体の部位や臓器を、3Dプリンターで作り出せる未来を示唆しています。事故で身体の一部を失った人や、臓器移植に頼らざるを得ない多くの人が助かる世界。バイオプリンティングが、医療に革新をもたらす日はそう遠くないのかもしれません。

私達の生活を大きく変えるカギとなる、3Dプリンターの“素材”

医療、建築、そして食。
3Dプリンターが与える影響は、ものづくりの分野にとどまりません。

用いる素材次第では、既存の産業構造を変えてしまうほどのインパクトを持っていることが感じられたはずです。今後使える素材を増やし、さまざまな領域で、私達の生活をより豊かにしていくことが、現代の画期的発明品“3Dプリンター”に与えられた使命なのかもしれません。

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