鍵は、自然や伝統との調和。外観にも注目したい地方の美術館4選

鍵は、自然や伝統との調和。外観にも注目したい地方の美術館4選


美術館といえば芸術作品を楽しむ場所。
しかし、展示されている美術作品のみならず、外観にも特別なこだわりを込めた美術館が多く存在しています。

特に近年では、自然の中に突如あらわれる人工物のような美術館ではなく、伝統的な造りを大切に、その地域ならではの自然と調和させた美術館が日本中で見られるようになりました。今回は有名建築家が手掛けた、外観にも注目したい地方の美術館をご紹介します。

 

【MIHO MUSEUM】景観との調和を可能にした地中設計

MIHO MUSEUM
出典:MIHO MUSEUM

滋賀県にあるMIHO MUSEUM(ミホ ミュージアム)が売りにしているのは、自然と建物との調和です。更にいえば、歴史ある伝統文化と現代文化の融合だけでなく、西洋と東洋との統合もテーマにしています。また、建築容積の80%以上を、地中に埋めることによって、可能な限り自然とのつながりを残しながら周囲の景観との調和をはかるという配慮がなされています。地中に埋まった美術館というと採光の面で設計が難しそうに聞こえますが、モダンにデザインされたエントランスロビーからは太陽光がぜいたくに差し込み、開放的な空間が広がっています。

このMIHO MUSEUMはルーブル美術館のガラスのピラミッドも手がけているI.M.ペイ氏が設計を担当しました。鉄筋コンクリートの上にライムストーンを施している壁は温かみを持ち、来館者に温かい印象を与えています。「自然の中に同化した建物の姿が、非常に意識的にデザインした結果だということをわかってもらえると信じている」というペイ氏の言葉の通り、人工の建造物を自然景観との連続性の中に作りあげるという意図が感じられる美術館です。

MIHO MUSEUM 公式ホームページ:http://miho.jp/index.htm

 

【神宮の博物館】横長に設計し眺望を大切に

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出典:神宮の博物館:神宮美術館について

三重県にある神宮美術館は、平成5年の第61回神宮式年遷宮記念して立てられた美術館です。遷宮が行われるごとに奉納される絵画・彫刻・書・工芸品といった多彩な美術品を集めているため、美術工芸の歩みが鑑賞できる点は他の美術館には無い大きな特徴となっています。

神宮美術館を設計したのは、法政大学の校舎などを設計した大江宏氏です。銅を薄くした板で葺いた銅板葺と勾配した形状の屋根、素木の美しさを活かした内装と日本の伝統的な建築様式が味わえる設計となっています。また、横に広く設計された大きな窓は庭や池、季節の花々といった豊かな自然を一望することができ、四季折々で移り変わる表情が楽しめます。

神宮美術館 公式ホームページ:http://museum.isejingu.or.jp/museum/museum/

 

【那珂川町馬頭広重美術館】変色さえも美しさを感じる地元由来の素材

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出典:隈研吾建築都市設計事務所

栃木県にある那珂川町馬頭広重美術館は、その名にも入っているように、浮世絵師の歌川広重の貴重な肉筆画「雨」をイメージしてつくられた美術館です。その世界観が建築家である隈研吾氏によって表現されています。

栃木県那珂川町の景観に溶け込むように、ゆったりとした平屋建ての大屋根を採用。さらに、美術館全体は地元産の”八溝杉”、壁は烏山和紙、床は芦野石と地域にゆかりのある材料を用いられています。

建てられたのは2000年。竣工当時から比較すると、杉材が変色しています。最初は鋭い印象だった八溝杉も、表情が穏やかになり、環境となじんできたような気さえします。時間の経過とともに塗装が落ちて変色していく様子にも美しさを見出させるのも、日本人独特の感性と言えるでしょう。

那珂川町馬頭広重美術館 公式ホームページ:http://hiroshige.bato.tochigi.jp/batou/hp/index.html

 

【地中美術館】素材を極限まで切り詰めた設計

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出典:地中美術館

香川県の瀬戸内海に浮かぶアートの島、直島には、自然を壊さないよう配慮して作られた地中美術館があります。地中に建築されている地中美術館には天井からの自然光のみで鑑賞する部屋があり、自然と融合したアート作品を展示しています。部屋ごとに表情がコロコロとかわり、同時に、四季を通じて作品や空間の色合いが変化していくのが特徴であり、季節、時間帯と、常に新しい表情を見せてくれる点が大きな魅力です。

また、地中美術館は安藤忠雄氏がコンクリート、鉄、ガラス、木を使用しながらデザインを極限まで切りつめて設計しています。日本を代表する建築家の1人である安藤忠雄氏はこの地中美術館において手を加えていない自然と、人工的なデザインの建築物という相反するものを同時に成立させたのです。

地中美術館 公式ホームページ:http://benesse-artsite.jp/art/chichu.html

 

【ヴァンジ彫刻庭園美術館】コンクリート造りに彫刻で優美さをプラス

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出典:ヴァンジ彫刻庭園美術館:美術館設計

静岡県にあるヴァンジ彫刻庭園美術館は、庭園そのものが1つの芸術となっている美術館。イタリアの現代具象彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジ氏の世界にただ一つの個人美術館ですが、その設計を行ったのもヴァンジ氏本人でした。

美術館そのものは鉄筋コンクリート造りで、美しい庭園と散りばめられた彫刻が全体の雰囲気を優美なものにしています。また、常設作品を展示するスペースは中央を仕切られた環状の構造であるため、来館者は自由な順路で彫刻をめぐり、下部庭園に出ることができます。また、美術館の一部でもある自然豊かな庭園は日本の伝統的な回遊型庭園の要素を取り入れています。

ヴァンジ彫刻庭園美術館 公式ホームページ:http://www.vangi-museum.jp/index.html

 

地方の伝統と自然が調和する美術館

いかがでしょうか。自然が織り成すありのままの造形と、人間が生み出した美術。それらを融合させたアートスポットが、日本のあちこちに存在しています。日本の伝統を守りながら自然を活かし、現代と伝統が見事に融合した美術館は、見る人の心を斬新な驚きに巻き込んでくれます。

今回ご紹介した美術館以外にも、日本の地方にはまだまだこういった現代と伝統を融合させた新しいタイプの美術館が数多くあります。ぜひ、あなたも訪れてみてはいかがでしょうか。

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