編み手とお客様を繋ぐ「気仙沼ニッティング」に込められた想いとは

編み手とお客様を繋ぐ「気仙沼ニッティング」に込められた想いとは


株式会社気仙沼ニッティング。誇りを持って質の良い手編み製品を提供し続けているこの会社は、2012年に糸井重里氏を中心とする復興支援プロジェクトから生まれました。

2011年の3月以降、気仙沼と言う地名を聞けば誰もが連想する、あの痛ましい大災害。震災が与えた被害は途方もなく、復興は今も終わる事なく続いていますが、少しずつそれを乗り越え、前を向いて生きていこうとする人々の想いは確実に形になり始めています。

気仙沼ニッティングには、そんな人々の前向きな想いが感じられるのです。

一目ずつ心を込めて編まれた「フィッシャーマンセーター」

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編み物作家である三國万里子さんがデザインする、気仙沼ニット製品の数々。定番の「エチュード」と言うフィッシャーマン(漁師)セーターには、気仙沼の海をイメージした「春の海」「冬の海」、そして「生成」などがありますが、これらはその素材となる毛糸の開発から丁寧に時間をかけて行われました。

そもそもフィッシャーマンセーターの始まりは、漁師である夫や父、家族の無事の帰りを願いつつ港で待つ母が、妻が、一目ずつ心を込めて編んでいたことに発します。気仙沼ニッティングの製品も同様に、そこには気仙沼の母の、妻の、女性の思いが込められているのです。

気仙沼ニッティング立ち上げの際には、三國さんや糸井重里さん、気仙沼ニットの代表を務める御手洗さん等がフィッシャーマンセーター作りの本場であるアラン諸島を訪れています。

そこまでに至る思いは、一つでした。「漁師町気仙沼から、誇りを持って素晴らしいフィッシャーマンセーターを提供する」。寒い日に、何気なく袖を通して、そのあたたかさにホッとするひとときを作るために。

気仙沼ニッティングに込められた想い

最近では、セーターやニット類なども、制作過程の多くを機械作業にして量産することができるので、値段が安くてもそう悪くないものが手に入れられます。

一方、気仙沼ニッティングの定番セーター「エチュード」はというと一枚75,600円(税込)。その他の品も決して安価ではありませんが、購入するには抽選が必要な場合も多く、根強いファンがたくさんいます。

なぜ、気仙沼ニッティングのセーターやニットが愛されているのでしょうか。もちろん品質の良い素材を使い、熟練した技術で丁寧に編まれていることに間違いないですが、それだけではありません。

気仙沼ニッティングが提供する製品には、震災前に「おもち屋さんだった、じゅんこさん」「コーヒー屋さんの看板娘だった、えりこさん」など、それぞれに顔のある編み手さんがいます。彼女らは、被災者としていつまでも傷付き、助けられているだけではなく、今度は自らが傷付いた人々を支える存在になろうと立ち上がったのです。

「袖を通すはずであろう人への思いやり」「人生の足取り」が、一目一目編み込まれたセーターやカーディガン。支援を受ける側から、こういった手編みのニットを通じ、誰よりもあたたかい人生を届ける側に生まれ変わった編み手さんの生き方に多くの人は惹きつけられ、気仙沼ニッティングは愛され続けているのでしょう。

TwitterやFacebookでは、編み手さんと購入者さんのあたたかい交流の一部が見てとれます。あの震災を、なかったことには出来ません。我々日本人の誰もが、大小差はあっても、ひとりとして震災の影響から逃れた者はいないでしょう。

震災を「忘れる」のではなく「思いを抱えたまま、乗り越えていく」。穏やかだけれど、とても強い生き方です。気仙沼ニッティングの提供しているニット類を身に着けるということは、言うなればそういう編み手さんの人生をも共有することになるのではないでしょうか。

気仙沼ニットは“ひとりの買い手”と“ひとりの編み手”の想いをつなぐ

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一本の毛糸。それが、編み手さんの手によって人と人とを繋ぐ強い絆に変わりました。被災地の人を助けようと言う支援のニュースは多く、震災を通して、人の思いやりやあたたかさを再確認できた部分もありました。

しかし、気仙沼ニッティング商品の購入は、「気の毒な」被災者への「募金」ではありません。これは、震災をくぐり抜け、強く明るく生きている気仙沼のおっかさんの、心のこもった素晴らしい製品へ敬意を持って払われる「対価」なのです。

出典:

いいものを編む会社。-気仙沼ニッティング物語
http://www.1101.com/knitting/

ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD

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