豪雪地帯の除雪作業に朗報!Panasonicの新型タブレットが再現する「熟練の知恵」

豪雪地帯の除雪作業に朗報!Panasonicの新型タブレットが再現する「熟練の知恵」


豪雪地帯と言われている地域は、道幅がとても広くなっています。なぜなら、冬場に道路が雪で覆われて狭くなってしまうからです。雪が降り積もると、除雪車で雪を削るにも、道路と塀の距離がわかりにくく、きれいに除雪できるのは一部のベテランのオペレーターに限られていました。

しかし近年、Panasonicは衛星からのGPS位置情報を駆使した3Dデータを利用した最新技術で、画期的な除雪技術を開発しました。

豪雪地帯の現状

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何気なく道路を歩いたら気が付きませんが、道路は決して平面ではありません。歩道、縁石、消火栓や側溝などの凹凸があり、それが冬に大量の雪に覆われてしまいます。

その状態で強力な除雪車で、アスファルトの数センチ上、ギリギリまで排雪しようと進めると、「ガツン」と縁石や歩道を壊してしまいます。これまで、除雪車で排雪作業を行うオペレーターは、経験を積んだベテランが多く、障害物を把握していました。しかし、最近では高齢者が多くなり現場に出られなくなってきています。

詳細な道路の形状を把握していない若者オペレーターが作業をすると、なかなか進まなくなっているのが現状です。

こうした状況をなんとか変えようと、Panasonicは国土交通省が整備した全国1300か所の電子基準点の情報を利用した除排雪支援システムを開発しました。

安価で強い!高精度で測位が可能なTOUGHPADを開発!

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このシステムの鍵は、警察や消防で実際に使われているPanasonicのタブレットPC、「TOUGHPAD」です。アウトドアで使えるよう、耐衝撃、耐振動性に優れ、防水・防塵性にも高いレベルを誇る除排雪に向いた端末です。

このTOUGHPADに衛星電波受信モジュール、ワイヤレスWAN、新機能の1周波RTK-GNSSを搭載、外部アンテナを接続し、道路の3次元可視化を可能としました。

RTK(Realtime Kinematic)の測位システムは、2周波を使う専用端末で非常に高い精度まで測位が可能です。ただし、高額なので普及は難しいのが課題でした。

そのためPanasonicでは、1周波のRTKと国土交通省の電子基準点1200か所を使った補正データを併用し、独自のアルゴリズムを開発することで、低価格で充分な精度で測位を可能とするシステムを完成させました。

今システムではハードウェアで50万円前後、現場の3D地図作製費用を入れても、これまでのコストを数分の1にできたといいます。

TOUGHPADの仕組み

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TOUGHPADで3次元道路地図を作製する仕組みは以下のようになります。

1周波RTK-GNSSはGPSによる衛星からの電波を受信し現在位置を測定します。同時に国土交通省電子基準点の測位データをPanasonic配信サーバからワイヤレスWANで受け取り、これを位置情報の補正データとして正確な位置を割り出します。

独自のアルゴリズムによる演算処理によって、2つのデータから高精度の測位を達成。3次元道路地図を画面表示し小さな起伏を可視化させます。

この画面を見れば熟練者でなくても、安心して排雪オぺーレーションが可能となります。これまではこの演算処理には高性能デスクトップPCが必要でした。最近では、高性能演算チップを搭載し、スマートフォンより長い時間の使用が可能な大容量バッテリーを積んだタブレットPCを利用したシステムとなっています。

除雪だけではなく、農業にも応用を視野に

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このシステムは、2015年12月に北海道岩見沢市で排雪の実証試験を行っています。除雪支援アプリも開発することで、雪が積もった道路や建造物を可視化させます。さらに、Panasonicでは今システムを排雪支援だけではなく、農業に応用できると自信を持っています。

実際、農道は冬の間、雪に覆われていますが、春が近くなると早く農作業を開始できるように排雪作業が始まります。その際、白一色の平原となった農地の中の農道を除雪するには、辺りの土地を熟知していても、側溝に除雪車を落としてしまうトラブルは日常茶飯事でした。

こうした作業を安全にするばかりでなく、肥料や農薬の散布作業に使えると考えています。これまでは、どこまで散布したかがわからなくなってしまい、撒き過ぎもよく起こっていました。こうした無駄な費用を削減する上でも、新たな技術で農業を支援できるとPanasonicは考えます。

まして、降雪期と農繁期は重ならないため、今システムが夏も冬も効率よく利用できるメリットもあります。

高精度測位システムの活用領域は無限大

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こうした高精度測位システムの誕生は、さらに農業での有効利用が考えられます。すでにGPS搭載無人トラクターによる刈り入れ作業などが実施されていますが、圃場の1畝1畝をしっかり把握することで、刈り入れ効率はさらに上昇するでしょう。こうしたテクノロジーの農業支援は、後継者不足によって増加している未耕作地対策になります。

近い将来、世界の人口増加によって起こる食糧不足や、日本の食糧自給率向上に寄与するでしょう。さらに排雪、農業に限らず、まだまだ社会で有効に利用できる可能性があります。テクノロジーが社会問題を解決する好例として、排雪試験の結果が楽しみです。

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